アメリカントラッドには1型 (No.1)と呼ばれるモデルがあります。
からいラペルロールから裾につながるラインは、あくまでも自然なカッタウェイを描き、ナチュラルショルダーは薄く仕上げる。もちろんセンターベントで、、、
ウエストダーツが無く直線的なシルエットを指して「サック(麻袋)」と人々が呼んだこのモデルの歴史は古く、1918年に米国Brooks Brothersが発表した「No.1 Sack Suit」にまで遡ることになります。
その後、日本においても60年代に流行した伝説のブランド、VANのブレザーもやはり1型の範疇と言え、現在においても多くのデザイナーが影響を受けているといわれるジャケットが1型です。
ブランドスタート時点より、T&Sのジャケットは1型ベースでした。
デビュー当初は、加湿調整と職人技を駆使したエージング縫製による構築的な仕立てを行い、それ以降、段階的にカジュアルな佇まいへとシフトすることでFielder Bagsへと進化してきました。
今シーズンはその中間に位置すると考えています。
当初の身体にフィットする感じではなく、身体から離れるボリューム感を非構築的な手法で表現しています。
「中間」たる所以のひとつに「袖のすわり」があります。従来のNo.1 Jacketと比べて「袖のすわり」は良くありません。
袖のすわりとは、袖山から袖口までの袖の造形のことで、これが折れることなく、綺麗に袖付けがなされているものを「すわりの良い袖」と言います。
設計上のポイントでいうならば、ここが一番重要になってくると思います。
「あえて、袖のすわりを悪くする」には理由があります。冒頭にも書かせていただきましたが、今回は「ジャケットが体から離れ、そのボリューム感を表現する」という意匠があります。当然アームホールもサイズアップし、ゆったりとした雰囲気にしたいと考えました。そこで、通常の袖（すわりの良い袖）との動作比較を行いました。その結果、袖の設計はブルゾン（右写真のすわりの悪い袖）に近付いていくことになったのです。
ストレスフリーな自然体に近い佇まいを目指して。
このくらいがちょうど良いのではないでしょうか。
品番 : 20308
価格 : ¥ 69,000 + 税
展開色 : キャメル
サイズ展開 : 1,2,3
主要素材 : 毛 100%（Lovat）
原産国: 日本
| サイズ | 着丈 | 肩巾 | 袖丈 | バスト |
| 1 | 71 | 47 | 59 | 109 |
| 2 | 73 | 48.5 | 60.5 | 113 |
| 3 | 75 | 50 | 62 | 117 |
Lovat Tweedを使用しています。
エステートツイードの最高峰に位置するといわれるスコットランドツイードメーカー。
深みのある色彩は流石としか言いようがありません。これがイギリスのアースカラーであり、同国のハンティングシーンを語る上で外せない素材なのです。
小林 泰彦さんは1977年に著書の中でこう仰っています。
「ヘビーデューティーを服装の体系としてみたとき、驚くほどアイビー＝トラディショナル体系に似ている。つまりヘビーデューティーのトラディショナルな部分はアイビー＝トラディショナル体系のアウトドア部門、あるいはカントリー部門と言える」と。
そのように捉えると、米国にて1918年に発表されたアメリカントラッドの原風景と言われる「1型」を私なりの想いで作ったTweed No.1 Jacketは、氏の言葉を借りて言うならヘビーデューティーを愛する『ヘビトラ』な人にこそ着ていただきたいジャケットで、T&Sの世界観には必要なアイテムなのです。
根幹には、いつもNo.1 Jacketがあるのかもしれません。
Memo
No.1 Jacket
1型と書けば誤解は生まれないのですが、No.1だとちょっと恥ずかしいかも、、、自分のジャケットが1番だと誤解されているような気がして。
これまでで、一番影響をもらったラペルジャケットだといっても過言ではないでしょう。
The Rugged Museum時代から幾度となく検証してきた、良い意味での「くされ縁」を感じる唯一無二の洋服。
Lovat Tweed
日本ではHarris Tweedの方が有名かも、、、でもLovatが良いですよ！
今の気分でサイジングを選ぶなら、この生地厚がちょうど良いのではなかろうか。程よく軽く、しっかりツイード。
実は自分が着たくて、、、こんなカントリーツイードを探していたんです！
ヘビーデューティーの本
小林 泰彦さんの本。
学生時代に読んだ影響が絶大なあまり、T&Sが生まれたといっても過言ではない。
私の経験から、是非とも若いうちにご一読いただき、感化されてほしい。
そして、将来のHeavy Dutyシーンを盛り上げる人物になっていただきたいと切に願うのであります。
- 多少の寸法差および個体差がありますが、全て検査済みで許容範囲内での変動となります。
- お使いのPC環境によって、色の再現性が異なる場合がございます。