1920年代、カレッジ学生達の間でサックスーツ(1型)にプラスフォーを合わせるスタイルが流行しました。

プラスフォーとは膝下8インチのゴルフ用ニッカーボッカーズのこと。
ニッカーボッカーズは裾が膝位置の登山用、膝下 6インチの標準モデル、最もエレガントなのが膝下 8インチのゴルフ用となっています。プラスフォーの所以は、標準丈からゴルフ用が 2インチ長いことに由来するのだとか。左右を合わせて+4(プラスフォー)という具合に。

ところがオックスフォード大学だけは、プラスフォーを認めなかった。
そこで、学生達がプラスフォーを隠すために、上から履いた股上が深く太いパンツスタイルが「袋」を連想させるところから「Oxford Bags」と呼ばれるようになったのです。当時のパンツは今で言う、バギーパンツの原型のようなもの。
① 上着は、1型のようにずん胴シルエットでなければならない。
② パンツは、さらに下にパンツを履けるほどのボリュームが必要。
スタイルを確立する上で、上記の決定的要素を抽出し、T&Sのフィーリングで生まれたセットアップにしなければならない。それは、Shop JacketとWrap Pantsを合わせてご着用いただき、そこに願わくばField Suspenderも一緒に合わせていただきたい。と思うのであります。
インナーはTシャツでも良い。でも、シャツを合わせるならTunic Shirtで決めて欲しい。これが「Fielder Bags」です。
Fielder Bagsとは、フィールドを愛する大人の男性に向けたスタイル様式のことであり、フィールダー達が好むであろう「良い脱力感」のあるラペルジャケットスタイルのことです。

洋服における「良い脱力感」とは、着用感を一定レベルでキープしつつ、砕けている必要がある。と私は考えます。そして軽く、柔らかくなければならない。そのための設計。そして、正確な縫製技術。何より、それを可能にする「狙いすました生地」が必要となります。三位一体となることで、それらは「調和」するのです。
「狙いすました生地」とは何か?
ポイントは「フィブリル感」にあると考えました。従来、T&Sでは「◯◯100%」を使用してきましたが、組成が1つだと全て同じ「糸の動き」になります。そこで本作では「異なる糸の異なる動き」を表現することにしました。
大きなシワは、加工(外部の力)によって付くもので、2着とない個性をもたらします。その大きなシワを「波」に例えてご説明すると、波と波の狭間に存在する「さざ波」のようなものをデザインしたということになります。「いい脱力感」を生む為には「さざ波=フィブリル=異なる糸の異なる動き」が必要であり、それが全体の調和につながると考えています。
「装いはラフに。良い脱力感を纏い自由な姿でありたい。」
今の気分のままに。
デザインとは「時と人とのエッセンス」なのだと私は思います。