TWEED FARMERS ULSTER COAT

アルスターコートの起源は古く、ヴィクトリア朝のイギリスまで遡ります。この時代のアルスターコートは、ケープが縫い付けらた昼間のコート。現在のものとは、凡そ似つかわしくない姿をしています。
以降、様々なバリエーションを経て、1866年、John McGeeによって生み出されたアルスターコートのコンセプトによって現在の姿になりました。

TWEED FARMERS ULSTER COAT + HEATHER COTTON SUS PANTS

歴史的にも、こんなに姿を変えてきたアイテムも珍しいのではないでしょうか。ほぼ同じデザインにポロコートがありますが、その辺の件は微妙な話しになりますので、また別の機会に。

何はともかく、これほどまで大きくデザインが変わりながら変化をしてきたにも関わらず、アルスターコートの名前が今日まで続いてきたことに興味があります。
我々のアプローチも一風変わっていますが、アルスターコートの懐の深さ故に、私は飛び込めたのかもしれません。

FARMERSシリーズは、TWEED FARMERS No,1 JACKET・TWEED FARMERS SLACKS・TWEED FARMERS ULSTER COATの3部作になります。

シリーズの特徴は、雨風に当たった洋服の『やれ感』をイメージし、あたかも長年着込んだように仕上げています。その脱力感のある佇まいが魅力ではないでしょうか。

その世界観を演出できる素材として、最終的にシェットランドウールの紡毛に行き着きました。他の2型と違って、本作はヘリンボーンになります。3型に共通しているのは、地厚なツイードを避け、適度な軽さと、しなやかさに注力していることです。そして、それは “やれ感” を演出するための加工にも耐えうるものでなければならない。ということです。
通常のウールはそのような加工をすることを前提としていませんし、そもそもウールの性質上、物性的にも不向きといえます。その為『味わいのある佇まい』と『モノとしての確かさ』を天秤にかけながら見定めていく必要がありました。検証と臨機応変な修正を積み重ねた後、最終的な素材が質実剛健な英国製に決まったのは必然といえるでしょう。

次に、更なる “やれ感” を演出する為の細部をご説明させていただきます。

上下の衿巾がほぼ同じか、上衿が少し広い、写真のような衿をアルスターカラーと呼びます。Pコートにも似ていますね。洋服の名前が付くほど有名な衿ですが、ポロコートの衿もアルスターカラーと呼ぶので、やはりアルスターコートは懐が深いと思うのです。

これまでTAKE&SONSでは、コートのステッチは本縫いミシンステッチに限定してきました。
ところが今回、FARMERSシリーズ共通の “やれ感” を表現するにあたり、本縫いミシンステッチではなく、AMFステッチが相応しいと考えました。

本縫いステッチは上糸と下糸を締めるので硬くなる傾向があります。そうすると、ステッチが入った部分が硬く見えることが懸念されました。一方のAMFは糸が1本ですので、素材本来の柔らかさを活かすことができます。
元々は手作業で入れていたステッチを機械的に模したものがAMFですから、ハンドステッチ風といえます。

上記写真で見てもあまり目立たないと思いますが、フロントエッジのキワに入っています。やはり洋服というのは、どんなに “やれ感” があってもエッジが決まっていると様になるものです。このようにエッジを固定するのがステッチの最大の役割りといえます。同様に、フラップ・肩・背脇・背中心・アームホール・外袖などの縫い目にも同様のステッチが入っています。

最後に細かな話しになりますが、釦穴について。一般的にこのようなウール製品には写真のような釦穴は付きません。特に、FARMERSシリーズはスーツ工場で製作していますので。
この釦穴はご存知のとおり、デニム製品をはじめとするカジュアル衣料品に付くものです。TAKE&SONSでは、ウールのラペルジャケットのような比較的ドレスなアイテムにも統一採用しています。これは、洋服の立ち位置が “カジュアル” だということを無言ながら示すディテールなのです。

ここまでで “やれ感” を演出するための素材の選定と、その表情を疎外しないためのステッチの考察をお話しさせていただきました。あと表側に見えるものとして、釦が残ります。釦は車でいうところのホイール&タイヤのような効果があり、洋服の場合は釦で表情がかなり変わります。従いまして、釦にも “やれ感” を追求する必要がありました。

椰子の実を原料とするナット釦を使用しています。上記写真の釦の縁に年輪のようなスジが見て取れると思います。
釦の “やれ感” の表現として、いちど任意のカラーに染めた後、少し色を落としています。この作業に均一さは求められませんので、ひとつひとつ表情が異なる釦は、長年使い込んできたような奥深き佇まいを醸しています。
また、長らくジャケットを着用する過程で、幾度も釦を触ることでしょう。その過程で指の油分が釦に移り、光沢が付き、釦は輝きを増していくのです。

衿の裏側を地衿と呼びます。地衿に施された衿芯を止めるステッチもHeavy JacketをはじめとするTAKE&SONSの洋服に多々見られるディテールです。

裏地に関しては、胴裏がコットンツイルで、比較的しっかりしたものになります。表地との相性も良く、素地色というのも、FARMERS感を演出するために、非常に無骨なセレクトといえるでしょう。

袖裏には “滑り” が求められます。実はここが着用感に多大な影響を及ぼす部分ですので、本格派のキュプラを選択しました。裏地といえば、ポリエステルが一般的なご時世、価格的にも利があります。しかし、袖裏もひとつのディテールとして捉えた場合、歴史的にも本格的なジャケットの袖裏には、常にキュプラやレーヨンが用いられてきました。やはりポリエステルと違って、吸湿性や帯電防止にも優れていますので、体感値の大きいディテールといえます。

FARMERSシリーズの共通ディテールでもある力釦は、釦付けに強度を持たせる農夫たちの作業着からのディテールです。

この力釦は、猪革からくり抜いて作っています。

※原料の詳細に関してご興味のある方は 試作革完成/閲覧注意! をご覧くださいませ。

商品名TWEED FARMERS ULSTER COAT
品番24305
価格¥93,000 (税込 102,300)
展開色グレー
ブラウン
展開サイズ1・2・3・4
主要素材綿100%
原産国日本製

Gray

Brown

サイズ着丈肩巾袖丈バスト
915159.5117
9452.561121
975462.5125
10055.564129
単位㎝

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