1型と呼ばれるモデルがあります。
からめのラペルロールからフロントエッジに続くラインは、あくまでも自然なカッタウェイを描き、ナチュラルショルダーから続く袖山は丸く落として形成すること。フロントを3ツ釦とし、袖口を2ツ釦で決める。

ウエストダーツが無く直線的なシルエットを指してサック(麻袋)と人々が呼んだこのモデルの歴史は古く、BROOKS BROTHERSが1918年に発表した『No,1 Sack Suit』にまで遡ることになります。
TAKE&SONSのラペルジャケットは須くこの1型に由来し、これまでもシーズン毎の目的に沿った様々なディテールを纏いながらその役割を担ってきました。

TWEED FARMERS No,1 JACKET + TWEED FARMERS SLACKS
冒頭に「フロントを3ツ釦とし、」と書きました。確かに見たところ3ツ釦なので、問題は無いかと思いますが、厳密に言うと、本作は4ツ釦なのです。
通常、上前ラペルには飾りの釦穴(ラペルホール)が付きます。これをフラワーホールと呼びます。ここにはバッジや、ラペルピンを付けたりしますが、元々はその名のとおり、花を挿すための穴でした。ラペルジャケットとは、実にエレガントなアイテムですね。今でもクラシカルなジャケットでは、挿した花を安定させるために、茎を固定するためのチーループがラペルの裏側に付いていたりします。
アメリカの正統派『3ツ釦段返り』に対して、本作は、ラペルを釦で留めることができるので『4ツ釦段返り』といえます。首元まで留めるデザインは、もちろん農夫の作業用スモックからのディテール。
フロント釦の留め方ひとつにもスタイルが宿ります。アメリカの正統派『中1ツ掛け』に対して、本作では『中2ツ掛け』を推奨します。この個性的な『狭いVゾーン』が今の気分。

TWEED FARMERS No,1 JACKET + LW LONG GRANDPA SHIRT
初登場のFARMERSシリーズは、雨風に当たった洋服の『やれ感』をイメージし、あたかも長年着込んだように仕上げています。その脱力感のある佇まいが魅力ではないでしょうか。
シリーズの世界観を演出できる素材として、最終的にはシェットランドウールの紡毛に行き着きました。今回はスラックスもあることから、地厚なツイードを避け、適度な軽さと、しなやかさに注力しています。そして、それは “やれ感” を演出するための加工にも耐えうるものでなければなりません。通常のウールはそのような加工をすることを前提としていませんし、そもそもウールの性質上、物性的にも不向きといえます。その為『味わいのある佇まい』と『モノとしての確かさ』を天秤にかけながら見定めていく必要がありました。検証と臨機応変な修正を積み重ねた後、最終的な素材が質実剛健な英国製に決まったのは必然といえるでしょう。
次に、更なる “やれ感” を演出する為の細部をご説明させていただきます。

これまでTAKE&SONSでは、素材に関わらず1型のステッチは本縫いミシンステッチに限定してきました。それは “アメリカの正統派” に由来するもので、ステッチが入る位置及び、ステッチ巾に至る細部までも1型の世界観に準じてまいりました。
本作において、新たに “やれ感” を表現するにあたり、本流から外れますが、AMFステッチが相応しいと考えました。
本縫いステッチは上糸と下糸を締めるので硬くなる傾向があります。そうすると、ステッチが入った部分が硬く見えることが懸念されました。一方のAMFは糸が1本ですので、素材本来の柔らかさを活かすことができます。
スーツで考えると、元々は手作業で入れていたステッチを機械的に模したものがAMFですから、ハンドステッチ風といえます。
上記写真で見てもあまり目立たないと思いますが、フロントエッジのキワに入っています。やはり洋服というのは、どんなに “やれ感” があってもエッジが決まっていると様になるものです。このようにエッジを固定するのがステッチの最大の役割りといえます。同様に、胸箱口・フラップ・肩・背脇・背中心・アームホール・外袖などの縫い目にも同様のステッチが入っています。

ここまでで “やれ感” を演出するための素材の選定と、その表情を疎外しないためのステッチの考察をお話しさせていただきました。あと表側に見えるものとして、釦が残ります。釦は車でいうところのホイール&タイヤのような効果があり、洋服の場合は釦で表情がかなり変わります。従いまして、釦にも “やれ感” を追求する必要がありました。
椰子の実を原料とするナット釦を使用しています。上記写真の釦の縁に年輪のようなスジが見て取れると思います。
釦の “やれ感” の表現として、いちど任意のカラーに染めた後、少し色を落としています。この作業に均一さは求められませんので、ひとつひとつ表情が異なる釦は、長年使い込んできたような奥深き佇まいを醸しています。
また、長らくジャケットを着用する過程で、幾度も釦を触ることでしょう。その過程で指の油分が釦に移り、光沢が付き、釦は輝きを増していくのです。

衿の裏側を地衿と呼びます。ここは一般的に、スーツであればカラークロスが使われます。上記写真のように、あえて表地を使用しているのは、本作の立ち位置がカジュアル側にあることを意味します。そして、それを確信させるのが、地衿に施された衿芯を止めるステッチではないでしょうか。これは、Heavy JacketをはじめとするTAKE&SONSの洋服に見られるディテールです。

地衿が表地であれば、こんな風に無動作に衿を立てても様になります。
ここでは “カジュアル” ということをアピールしてきましたが、その反面、衿の作りに関しては『1枚衿』という切り替えの無い本格的なものになっています。首の形状に沿わせる為に、通常は上衿(表衿)は切り替えを利用して “クセ処理” を行います。それに対し、切り替えの無い1枚衿は、工程が多く難易度も桁違いになります。手間を惜しまずジャケットを制作していた時代の本格的なクラシック・テーラードディテールといえます。
なぜ衿作りにこんなにも拘っているのかといえば、真横から見ると、前身頃と後身頃でバランスを取っている洋服のイメージができると思います。それは肩と脇で接続され、唯一確実に身体に設置しているのが第七頸椎付近だということ。ここを『フィットゾーン』と呼びます。フィットゾーンをいかなる時も、確実に身体に設置させる働きをするのが “衿” の役割りです。ここは疎かに考えてはいけない重要ポイントだと私は考えております。
設計に関する少し深掘りした内容を書きます。
洋服のフィットゾーンがきちんと身体に着地した状態で、肩線は肩先に向かって、僅かに洋服が身体から浮いている状態を私は理想としています。
もう少し詳しく。『前肩』というのをご存知でしょうか?業界ではイタリア語で『オメロピット』と呼びますが、肩先から前方に少し下がった位置に骨の出っ張りがあると思います。日本人は欧米人に比べて、ここが出ていると言われていますが、肩先〜前肩の間を身体から洋服を浮かしてあげる必要があると私は考えます。ほんの数ミリの世界の話しです。それを安定させるのが “衿” の役割りなのです。
TAKE&SONSの洋服は「手持ち感は重くても、着ると軽い」と言われることが多々あります。それは、パターンの設計と縫製技術によって成し得るものです。それは衿だけではなく、このようなポイントが洋服を組み立てる過程には幾つもあり、それらが積み重なった結果なのです。
TWEED FARMERS No,1 JACKETを羽織ると、身体に馴染むしなやかさと軽さをご体感いただけると思います。

裏地に関しては、胴裏がコットンツイルで、比較的しっかりしたものになります。表地との相性も良く、素地色というのも、FARMERS感を演出するために、非常に無骨なセレクトといえるでしょう。
袖裏には “滑り” が求められます。実はここが着用感に多大な影響を及ぼす部分ですので、本格派のキュプラを選択しました。裏地といえば、ポリエステルが一般的なご時世、価格的にも利があります。しかし、袖裏もひとつのディテールとして捉えた場合、歴史的にも本格的なジャケットの袖裏には、常にキュプラやレーヨンが用いられてきました。やはりポリエステルと違って、吸湿性や帯電防止にも優れていますので、体感値の大きいディテールといえます。

一般的なラペルジャケットには “力釦” は付いていませんが、FARMERSシリーズにはそれが付いています。釦付けに強度を持たせる農夫たちの作業着からのディテールです。
この力釦は、猪革からくり抜いて作っています。
※原料の詳細に関してご興味のある方は 試作革完成/閲覧注意! をご覧くださいませ。

TWEED FARMERS No,1 JACKET + TWEED FARMERS SLACKS + JACQUARD HOODWARMER
TWEED FARMERS No,1 JACKETは、TWEED FARMERS SLACKSとセットアップでご着用いただくことを前提に企画されています。
これが、初となるTAKE&SONSのスーチングスタイル。
是非、スーチングスタイルでお楽しみください。
| 商品名 | TWEED FARMERS No,1 JACKET |
| 品番 | 24303 |
| 価格 | ¥79,000 (税込 86,900) |
| 展開色 | グレー ブラウン |
| 展開サイズ | 1・2・3・4 |
| 主要素材 | 綿100% |
| 原産国 | 日本製 |

Gray

Brown
| サイズ | 着丈 | 肩巾 | 袖丈 | バスト |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 72 | 48 | 59.5 | 111 |
| 2 | 74 | 49.5 | 61 | 115 |
| 3 | 76 | 51 | 62.5 | 119 |
| 4 | 78 | 52.5 | 64 | 123 |
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