英国空軍パイロットが戦闘機から脱出し、冷たい英国海峡や北海で救助までの時間を稼ぐ衣服がある。その命が1分でも長く守られるよう開発された特殊スペック生地。
日本で初めて正規生産工場に認可され、戦後日本の自衛隊、海上保安庁に耐水服用の素材として長きにわたり納入されてきました。綿100%でありながら、耐水圧800mm以上を誇る不思議な防水布。
『水に浸かると繊維が膨張し、水を通さなくなる』というのは、天然繊維のフィールド・ファブリックの機能としてお聞きになられたこともあるかと思います。先達たちは昔からこのような素材でアウトドアに出かけたのです。
私はそれらを、ローテク・フィールドファブリックと呼んできました。本作に使用する素材もローテクに属します。しかし、目を見張るのが、その耐水圧。800mmという数値です。ちなみに洋傘の耐水圧は200mmくらいで、トラックなどの幌で耐水圧は500mm程と言われていますので、自衛隊、海上保安庁に納入されてきたというのも頷けます。果たして、これが洋服として使いこなせるものなのか、一抹の不安はありました。
※ローテク・フィールドファブリックに対して、ゴアテックスなどの化学繊維をハイテク・フィールドファブリックと呼んでいます。単純に機能の比較では、ローテクはハイテクに遠く及ばないことを、事前に名言しておきます。
例えば、耐水圧で比較すると、ローテクは百の位ですが、ハイテクは万の位になります。これは比較できるレベルではありません。
しかし、機能的には優れているハイテク素材も、いったん傷が付くと『味わい』として消化できないのも事実。一方で、時間とともに身体に馴染み、傷や汚れを纏いながらその全てを味わいとして昇華し、経年とともに変化した洋服の佇まいを『美しい』と感じる。それを体現するのが、ある一定の基準を満たしたローテク素材なのだと私は考えています。
これだけの糸を打ち込んだ洋服を、私はこれまで着たことがありませんでした。「バキバキ過ぎるのではないか?」「硬くて着難いのではないか?」生地を目の前にしても、実際に袖を通すまでは分からないこともあります。その時は不安が渦巻いていたのでした。
その心配は、全くの杞憂に終わりました。例えるなら、コットンボンディングのコートのようなバキバキ感は全くなく、しっかりした厚みのある生地からは、動作に応じて “しなやかな反発” を感じます。これが本当に心地良いんです。「これは本当に凄い!」これしか言葉が出ません。
これが『綿100% 超高密度の世界』なのだと改めて気付かされたところです。
化石燃料から作られる化学繊維と違って、燃やしても温室効果ガス『ゼロ』の植物繊維の綿は、透湿性・通気性にも優れています。
綿素材で懸念されることに、ご着用による色の退色(変化)があります。この堅牢度については、ドイツのDystar社の技術によって、経年変化による変退色リスクを綿製品史上最高レベルで最小限に抑えております。
この素材は綿コートを作る上で、最高レベルのもではないでしょうか。
衿やフードはメルトンを使用しています。衿を立てた時、生地が首に当たって冷たさを感じないようにメルトンにしました。
フードはファスナーで脱着ができるので、不要の場合は取り外してください。写真では少しファスナーを外しているので分かりやすいかと思います。
フードは2枚構造を採用しています。これはダッフルコートに見られる仕様で、フードを被らない時は収まりが良いので私は好んでいます。
スロートタブは風が首に入り込むのを防止する目的で付いています。衿を立てない時はスロートタブを反転させて衿裏に隠しておくこともできますが、私はぶら下げたまま着るのが好きです。
衿芯を止めるためのステッチは、TAKE&SONS定番のディテールとなりました。
写真に見えるのは、フードの端ですが、ここは杉綾のテープ返しというクラシックな仕立てになっています。
裏地にはしっかりしたコットンツイルが使用されています。他の品番では『裏打ち』という手法で使用しましたが、本作では、通常の裏地として、裾から20cmほど上がった位置で、裏地の裾はふらしています。
袖は滑りを良くし、着用感を向上させるために袖裏を付けました。
腰ポケット内部には、小分け収納ができる内ポケットが付いています。スマホなど、ポケットの中で暴れるものをここに差し込んでおくと良いですよ。
TAKE&SONSのアウターの多くで、ポケットは『マチ』と呼ばれる側面が付いた立体的な構造をしています。この場合、ポケットをフラットに捉えてはいけないんです。なぜなら、物を入れると下がってきたり、無造作にマチがはみ出たり、当初の形が変化するからです。ポケットを立体的に捉え、どのくらいのボリュームになるのか、その全体感をイメージする必要があります。実用性とデザインのバランスがここにあるのです。
釦は、椰子の実を原料とするナット釦を使用しています。上記写真の釦の縁に年輪のようなスジが見て取れると思います。天然釦の良いところはエージングにあります。長らくジャケットを着用する過程で、幾度も釦を触り、その指の油分が釦に移ることで光沢が付き、釦は輝きを増していくのです。
袖口はメルトンでパイピングされており、必要に応じてドット釦でアジャストできる仕様になっています。
ラグランスリーブは『1枚袖』を選択したい。
本流を意識するならば、ラグランは1枚で構築されるべきだと私は思っています。
ラグランも現在では1枚袖、2枚袖、3枚袖というように構成パーツが多くなってきました。パーツが多いほど、袖は構築的になります。よって、パーツ枚数が多いラグランというのは、より都会的で洗練された洋服の佇まいになる。というのが私の見解です。
一方で、1枚袖ラグランというのは、今日では古着などでしか見られないディテールとなりました。それが醸し出すのは『他の追従を許さない、無骨で男くさい迫力』です。
1枚袖ラグランはアームホールが深くても動作がし易いことから、主にコートなどのアウター類に使われてきた『機能袖』です。ヴィンテージ・バーバリーで、最も希少価値があるコートといえば、それは1枚袖のラグランコートなのです。
| 商品名 | MASTER OX HOODED COAT |
| 品番 | 24306 |
| 価格 | ¥110,000 (税込 121,000) |
| 展開色 | カーキ |
| 展開サイズ | 1・2・3・4 |
| 主要素材 | 綿100% |
| 原産国 | 日本製 |
Khaki
| サイズ | 着丈 | 裄丈 | バスト |
|---|---|---|---|
| 1 | 93 | 84.5 | 130 |
| 2 | 96 | 86.5 | 134 |
| 3 | 99 | 89 | 138 |
| 4 | 102 | 91 | 142 |
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