夏の渓流をイメージしてデザインしました。
主役は渓魚で、渓流に生茂る草花が脇役といったところでしょうか。よく見ると、草花に混じって毛鉤もありますよ。

あえてモチーフを簡略化し、不揃いに手描きをすることでレトロな雰囲気にしています。そこに『にじみ』や『濃淡』といった不均一な要素を加えました。バティックでいうところの、ロウから滲み出た染料のような複雑な味わいを表現したかったのです。
写真をよく見ると、この素材がリップストップだとお分かりいただけると思います。
リップストップは様々な原料を用いて、幅広い用途で使用されていますが、元々は第二次世界大戦のアメリカで、軍服の耐久性(主に引き裂き耐性)を向上させる目的で開発されたものです。このような経緯から、リップストップと聞くとミリタリーウェアを連想される方も多いのではないでしょうか。
このFISH BATIKで使用しているリップストップも、オールド・ミリタリーファブリックです。

FISH BATIK SACK JACKET+AUTHENTIC OFFICER’S KHAKI
OPEN END TUBE TEE+CREW HAT
『カジュアル』の対義語に『ドレス』があります。
FISH BATIK SACK JACKETは当然ですが、カジュアルに属します。
私は、ラペルジャケットは基本的にエレガントなアイテムだと考えています。カジュアルの領域にありながら『色気』を感じれる大人ジャケットを作りたい。そのための基本性能を備えた、ドレスともカジュアルともとれない独自の理論に基づくパターン設計と縫製技術がここにあります。

FISH BATIK LAPEL VEST+WIDE ARM SHIRT+CREW HAT
FISH BATIK LAPEL VESTも同様にラペルデザインです。
先の話しに戻りますが、ミリタリーファブリックは、言うなればカジュアルの代表格です。それと対極にあるエレガントなラペルデザインを組み合わせると、どのような化学反応が起きるのだろうか。

FISH BATIK SACK JACKET+FISH BATIK LAPEL VEST+WIDE ARM SHIRT
複数の色を使用して、細かな柄を表現していますが、系統色でまとめることで、全体的にはシックな印象に仕上がっています。ことの他、着易くお感じになられるのではないでしょうか。
ご提案させていただいたFISH BATIKのフィーリングには『遊び心』があります。それは、大人の装いにとって大切な要素のひとつだと、私は考えております。