アメリカントラッドには1型と呼ばれるモデルがあります。
からいラペルロールのフロント段返りから裾につながるラインは、あくまでも自然なカッタウェイを描く。肩はナチュラルショルダーでセンターベント。ウエストダーツが無く、直線的なシルエットを指して「サック(麻袋)」と人々が呼んだこのモデルの歴史は古く、1918年に米国 Brooks Brothersが発表した「No.1 Sack Suit(1型)」にまで遡ることになります。
その後、日本においても60年代に流行した伝説のブランド。VANのブレザーもやはり1型の範疇と言えるでしょう。
T&Sのジャケットは、当初より1型を基本とさせていただいております。
それをベースにカジュアルダウンさせ、T&S流にアレンジしたのがHeatherTweeed WorkJacketとSplashCamo WorkJacketです。
かつて、1型に太いパンツを合わせたスタイリングを「Oxford Bags」と呼びました。
1920年代、カレッジ学生達の間でサックスーツ(1型)にプラスフォーを合わせるのが流行った。プラスフォーとは膝下8インチのゴルフ用ニッカーボッカーズのこと。
ニッカーボッカーズは、裾が膝位置の登山用、膝下 6インチの標準モデル、最もエレガントなのが、膝下 8インチのゴルフ用になります。
プラスフォーの所以は、標準丈からゴルフ用が 2インチ長いことに由来するのだとか。左右を合わせて+4(プラスフォー)という具合に。
ところがオックスフォード大学だけは、プラスフォーを認めなかった。
そこで、学生達がプラスフォーを隠すために、上から履いた股上が深く太いパンツスタイルが「袋」を連想させるところから「オックスフォード・バッグス」と呼ばれるようになったのだそうです。
当時のパンツは今でいう、バギーパンツの原型みたいなシルエットですから、もちろん本作とは異なりますが「1型に対して大きめのパンツ合わせ」という根幹部分は同じなのです。
「フィールダー・バッグス」とは、フィールドを愛してやまない大人の男性に向けたセットアップ企画であり、合わせてご着用いただくことで完成するスタイル様式のことです。
最終章 vol.2へ つづく。