閲覧注意!
このページには試作革を製作する過程において
その模様をお伝えするために
必要最低限の解体写真が含まれています。
ご注意ください!
日々、廃棄されている「動物の皮」に疑問を抱き、獣皮の有効活用をするべく「新たなるプロダクト製作」の模索がスタートします。
基本的に、マーケットに流通しているレザー商品は「革用に飼育された」動物の皮なのです。
ですから「虫さされ」や「傷」などが無く、美しい革となるのですが、自然界の動物はどうなのでしょうか?
「見たことがないんです」
おそらく、レザーに長く携わられている方も「見たことがない」という人が多いと思います。何故ならば、流通していないからですね。
アイキャッチ画像が「自然界の革」です。ところどころ虫食いのように穴が開いています。
これでは不均一すぎて、製品を作るのが難しいのです。そういった理由で有効化できずに毎日廃棄されている現状があります。
「これをなんとかできないか?」
昨年12月の中旬、静岡県にて約120kgほどの猪の皮を解体後に採取しました。
この時期の猪は「脂」が美味い。ということで、解体場では脂の取り残しがないように綺麗に「皮むき」が行われます。
写真は部位ごとに分解が進行している段階で、下に敷かれているのが「皮」です。
この皮を「鞣す」ために出荷するのですが、その前に処理しなければならないことがあります。
耳など、鞣工程に不要な部分を切除し、猪の場合は「ヨロイ」を外し、毛に潜むダニをある程度駆除すること。などの作業をします。
*猪のヨロイとは、肩甲骨付近にある最も硬い皮下脂肪の塊のこと。これは正にヨロイの名に相応しい防御の要。基本的には戦いの際に身体を防御するためのものでしょう。
例えば、鳥撃ちに行って猪に遭遇したとする。手持ちの鳥撃ち用の散弾では、このヨロイを撃ち抜くことはできない。弾はヨロイを貫通できないのである。そんな時は撃ってはいけない。
また、日本では古くは竹刀の鍔にもヨロイを使ったんだとか。
ダニに関しては宿主の体温低下とともに離れるといいますが、この段階でもかなり付いていました。
待つこと1か月、ついに「皮」から「革」へと変貌を遂げました。今回はあくまでも試作革なので、色はついていません。
Wild Boar Skin(猪革)の表面をよく見ると、毛穴が3つ1組になっています。これはPig Skin(豚革)と同じ特徴です。それと、高級革として知られるPeccary Skin(ペッカリー革)も同様ですね。
クロムではなく植物タンニンを使用した鞣は最高の風合いを生み出していて、不安は全くありません。最高の素材と言えるでしょう。この鞣に関しては、その特殊さ故に、次回に詳しくご説明します。
しかし個体差を考えると、洋服などの裁断には向かないかもしれない。
思っていたよりも難題だ、、、さて、どうしようかな。